プロ野球には「助っ人外国人」と呼ばれる外国人選手がプレーしています。外国人選手は主力選手として獲得されることが多く、彼らの活躍がチーム順位の鍵を握ると言っても過言ではありません。
しかし、外国人だからといってチームの勝利に貢献できる大型補強で強化したらチームが強くなるとも限りません。今回の記事ではプロ野球における外国人選手の役割と歴代の選手を話していきます。
外国人選手枠とその役割
外国人選手枠について日本野球機構(NPB)では以下のように定められています。現在は、各球団は任意の数の外国人選手を支配下登録できる。ただし、出場選手登録(一軍登録)は4人まで、かつ投手または野手として同時に登録申請できるのはそれぞれ3人まで(協約第82条の2)。
即ち、出場枠を最大まで使う場合、出場選手登録申請は「投手2人に野手2人」「投手1人に野手3人」「投手3人に野手1人」の3通りに限定される。
外国人、すなわち、助っ人選手の役割はチーム戦力において足りない部分を補うために戦力としてチームへ入団してもらいます。育成の観点ではなく、即戦力としてみなされています。ドラフト会議で注目の高校球児のように1、2年2軍で経験を積んでから1軍デビューではなく、移籍後すぐに結果を求められています。
過去には大きな注目を浴びて来日してきたメジャー選手が全く結果を残せず1年持たずに契約を破棄し、アメリカへ帰ることもあります。
歴史的な外国人選手
ここからは今でもプロ野球ファンに語り継がれるチームに多大なる貢献をした助っ人外国人を紹介していきます。名前を聞いて懐かしいな!と思う選手も少ないはずです!
ランディ・バース 阪神
阪神の初優勝に大きな貢献をしたランディ・バース。1983年〜1988年シーズンの5年間、阪神一筋でプレーをした。当時、圧巻のバッティングから「神様、仏様」と称えれるほどの選手。当時の阪神打線は「ウル虎戦士」と呼ばれる強力打線で当時の巨人のエース槙原投手から「バース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発」は球史に残る記録だ。
2度の三冠王に輝き、当時の首位打者の時の打率.389は未だに破られてはいない記録だ。三冠王の最高記録は
- 打率.350
- 本塁打54本
- 打点134
と凄まじい数字を残している。現役時の彼は努力家でも有名でチームメイトや阪神ファンから愛されており今でも愛されている名選手だ。チームの主力選手が努力する姿を見せることで間違いなく、チーム内で切磋琢磨しあいいい雰囲気の中プレーできていたのだろう。アメリカ帰国後は衆議院も務めた。
アレックス・ラミレス ヤクルト-巨人-DeNA
続いては「ラミちゃん」の愛称で親しまれているラミレス。巨人に移籍して2年目で首位打者に輝く。ホームラン王に2度、打点王に4度輝いている。
また、外国人選手初となるシーズン200本安打を達成。さらにDeNA時代には外国人選手初の2000本安打達成。名球界入りを果たした。野球の研究に熱心だったラミレスはその見た目からは想像できないが力対力の勝負ではなく、緻密な配球を研究し結果を残していたのだ。
現役を退いた後は独立リーグでのプレー後、DeNAの監督にも就任。その人柄と親しみやすい性格から人を寄せ付け多くのファンに愛されてきた。
現在YouTubeチャンネル「ラミちゃんねる」の登録者数は23万人。
ウラディミール・バレンティン ヤクルト-ホークス
現役当時、史上2人目となる3年連続のホームラン王に輝く。当時王貞治さんが保持していたシーズン最多ホームラン55本をバレンティン選手は塗り替えシーズン最多の60本を放った。
15年シーズンを除くとヤクルト時代では毎年、30本以上のホームランをマークしていた。ホークスに移籍してからは結果が伸び悩み退団した。
アレックス・カブレラ 西武-ホークス
西武在籍時の2002年シーズンには王貞治と並ぶ55本のホームランを放ったスラッガー。3年連続でホームランは49本、55本、50本と脅威の数字を残している。ホームランやその飛距離は誰もが驚くほどのバッティングだった。
しかし、ホームランバッターとなるとイメージして多いのが「ブンブン丸」ホームランや長打が多い分、三振や凡打が多い選手のことだ。
しかし、カブレラはそんなイメージとはかけ離れており日本に在籍した12年間での通算打率は.303とハイアベレージをマークしていた。
クリス・ジョンソン 広島
ジョンソン投手は来日して即戦力として活躍。先発ローテーションの柱を確立。2年目には先発投手の最たる賞「沢村賞」を受賞。
広島初となるリーグ優勝に大いに貢献。
プレーだけではなく、ジョンソンは日本、特に本拠地である広島に親しみを持っていた。広島を第二の故郷だと思っているそうだ。ファンもジョンソンの活躍と明るい性格から親しみを持っていた。
デニス・サファテ 広島-西武-ホークス
「キング・オブ・クローザー」の名に相応しい守護神。鷹の守護神として一代を築き上げたクローザー。伝説級の活躍でホークスの連覇に多大なる貢献をしてきた。
ホークス在籍時の15年〜17年シーズンでは3年連続のセーブ王に輝いた。
現在の助っ人外国人の課題
これまで紹介した助っ人外国人選手はいずれにせよ、タイトル獲得やチームのリーグ優勝、日本一に貢献している。しかし、昨今のプロ野球の助っ人を過去の選手と比べてみると助っ人としての結果は物足りない。
現在、前半戦も終わりに近づいている中、個人成績でトップ5にランクインしているのは打者ではヤクルトのオスナがホームランで3位。セーブ数でセ・リーグの中日のマルティネスが2位とホークスのオスナがランクインしている。しかし、助っ人として、チームの主力になるような存在がどの球団にもいない。先ほど紹介した野手や投手はいずれもチームの主力選手でした。
チームの4番を打ったり、先発の一角、守護神とチームにいなくてはいけない存在がありました。では、このたった数年で来日してくる助っ人選手にどのような変化があったのかについて見解を述べていきたいと思います。
日本野球界の進化
現在の日本野球はメジャーリーグの選手にも劣らない技術を持っています。3月に行われたWBCではリーグ戦から決勝戦まで唯一の負けなしで最強軍団・アメリカにも勝って優勝しています。さらに、海を渡りプレーしている大谷翔平選手をはじめとする9人の選手。ひと昔のレベルよりも格段に上がったと言って間違いないでしょう。
さらに助っ人で来日してくる選手の殆どがマイナーの3Aの選手。マイナー選手の力量では日本野球のレベルに対応できなくなっています。メジャーでサイヤング賞を獲得し今季から来日してきたDeNAのバウアー投手でさえ日本バッターに対して大量失点をすることがありますからね。
メジャーとプロ野球の年俸格差
もう一つは「年俸」です。現在の年俸をメジャーとプロ野球で比較すると以下の通りです。
メジャー
平均年俸 | 6億円 |
最低保証年俸 | 約8200万円 |
日本プロ野球
平均年俸 | 4300万円 |
最低保証年俸 | 1600万円 |
と決定的な差があるのだ。平均年俸を比較すると5億円以上の差が開いているのだ。さらに現在はマイナーの待遇も向上しており、日本でプレーすることへの魅力がなくなったと言っても過言ではない。日本でプレーするという選択肢の番手が下がり、助っ人自体のレベルが低下したとも捉えられる。
まとめ
いかがだったでしょうか?歴代の助っ人外国人の名前を聞くと懐かしいと思う方も多いのではなかったではないでしょうか?いずれにせよ、今も語り継がれる外国人はプレーの成績でインパクトを与えているのは当然ですが何よりファンから愛され、親しまれた選手ばかりという共通点がありますね。
活躍していくには「人間性」が欠かせないです。「競技力は人間力比例する」かのようにも思われますね。現在の助っ人の課題は何かしらの策を講じていかないと助っ人のレベルの低下以上に”日本野球は魅力がない”と他の外国人からそうイメージされてしまいかねません。
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