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【99%知らない】昔のバットは物干し竿!?バットの歴史

野球の歴史と共に進化してきた野球用具。道具の発展が大いに野球の発展の発展に直結していると言っても過言ではないでしょう。野球は道具を使いこなすことで上達するスポーツに他ならないからです。

単に体を大きくしても、陸上選手のように走ってもプレーが上手くなるとは限りません。道具の使いかた、体の使い方が上達してこそ上手くなります。

今回のコンテンツではホームランを量産に貢献している”バット”が今に至るまでの歴史的背景を振り返りながら先人たちはどのような環境下で野球をしていたのかについてお伝えしていきます。

アメリカではなんでもアリだった!?

野球の母国・アメリカではもともと現在のバットは誰も使っておらず、なんでもありの状態でした。クリケットのバットの平たくて先端が曲がったものもあれば金属の棒を使う選手など、現在の断面が円形のバットは野球発足した時には当然ありませんでした。

時代と振り返る現在の木製バットに至るまで

1863年

バットの『重さ』について規定が入りました。しかし、規定で決まったのは重さのみ。断面は円形でなくてもよかったのです。なので、角材のようなバットを使用する選手も中にはいました。

1893年

ようやく正式に断面を円形にするように決まりました。

1878年〜日本に野球伝来〜

日本は1872年に野球がアメリカから伝来。当初・自分たちで木を削り出し、バットを生み出していたのです!無人島で暮らすサバイバルのようですね。笑

 しかし、ボールが鬼のように硬かったため、すぐにバットは折れていたようです。そのため、物干し竿を工夫して使う人も中にはいたみたいですね。そこまでしてでも野球がしたいという先人たちの想いが伝わってきますね。

普通の人なら手が痛くて辞めてしまうところを工夫して楽しく取り組んできた先人たちの知恵が今の素晴らしい道具に繋がっています。

スパイク歴史を知りたい方はこちら

名バッターは自分でバットを作っていた!!

ここまでがバットがどのような歴史で今の形状へと変わってのかについて紹介してきました。今日のようにイチロー選手は細いバットを使って保管はバットが水分を含まないようにジュラルミンケースに保管していたのは有名な話。

プロ野球選手の中には、練習でバットを複数使用して音の違いでバットの調子を見極めて使用しているくらい、命をかけているのです。今でも受け継がれている先人たちのバットをご紹介します。

タイカップ

安打製造機が使うバットといえば『タイカップ』と言っても過言ではないでしょう。タイカップを知らない方に説明するとグリップの部分がなだらかに太い形状をしているバットをタイカップ型と言います。

【99%知らない】昔のバットは物干し竿!?バットの歴史
タイカップバット
赤く囲んだ部分がタイカップ型と呼ばれるバット

タイカップのメリットはスイングがコンパクト、かつ、鋭くなるためです。このバットを発明したのは、元メジャーリーガーのタイ・カップさんです。メジャー通算打率は驚異の.367タイ・カップさんはこんな名言を残しています。

50センチ先に転がしたヒットと50メートル先に飛ばしたヒット。この両方が同じヒット一本として扱われることは野球のルールの最も素晴らしい部分である。

メジャーで功績を残したタイ・カップさんが自分独自で自分のバッティングスタイルに活かして発明されたのです。日本では「すりこぎバット」の愛称で振り抜きやすくシャープな打球を打てるようなバットです。

ベーブ・ルース

一方、野球の神様ことベーブ・ルースはグリップが細く、バットの重心が先端にあって強く振りぬくのに適したバットでした。

重さはなんと1kg!現代のトレーニングバットの重さに匹敵する重さなのです。グリップが細いバットを好む選手は長打を打つ選手に多くみられる傾向です。

ホームランバッターはおそらく全員グリップは細いでしょう。グリップの形状をテレビ中継でプロ野球選手がどのような形状なのかをみてみると新たな野球の気づきが生まれるかもしれません。

木製バットから金属バットへの背景

ここまでは現代のバットの形状になるまでどのような歴史的背景があり、名バッターオリジナルのバットが100年以上受け継がれていることがわかりました。現代の野球は高校野球は木製のバットを使用していますがどのような背景があって木製から金属に変わったのかについて紹介します。

経済的理由がNo.1

先ほどお話ししたように、今のようにバットに適したバット選びは当時はできずかつ、加工も加えていない木製バットだったのですぐに折れてしまってたのです。試合をする度にバットが折れてしまうので学校は何本も用意しないといけなくなります。公立高校にとって負担が大きく1974年から高校野球で金属バットが解禁になりました。

打者有利な最強バットが誕生するまで

実は高校野球で金属バットが解禁になる前に金属バットは誕生していました。それでは年代ごとに振り返っていきましょう。

1972年

初めて金属バットが誕生した時も形状は昔と変わらないバットです。”素材”、”重さ”そして”表面加工”に工夫が施されたバットでした。60年代にはアメリカで発売されていましたが、輸入しか伝手がなく、輸入してきたバットを見てそれなりに作っていたのです。

1979年

この年に『軟式金属バット』が誕生します。ミズノが日本で初めて金属バットを量産し発売しました。素材は「アルミニウム合金」

2000年代

そして、2000年代はバッターが有利な時代に突入。表面部に特殊研磨加工を施されよりボールのスピンを強烈にして、鋭い打球を生むようになりました。

現在『飛びすぎるバット』

2000年代からバッター有利と言われるくらいバットの影響は大きいのだ。木製は”木のしなり”を活かしたバッティングをし加えて芯で捉えないと飛ばないといった打撃技術が求められます。一方で金属バットは”反発”を利用してバッティングをするので多少、芯を外しても打球は飛んでいきます。

【99%知らない】昔のバットは物干し竿!?バットの歴史
現代使用されている高校野球の金属バット
快音が響き渡るSSK「スカイビート」

なので、高校通算何十本とホームランを量産してきたバッターがプロ野球の世界では高校野球のように打球が飛ばないのはそういった背景もあります。

2024年

「飛びすぎるバット」の問題を解決するべく来年、2024年には『飛ばないバット』へと移行することが高校野球連盟で正式に決定されています。

【99%知らない】昔のバットは物干し竿!?バットの歴史
2024年から導入される飛ばないバット
2024年の規定に則ったバット。見た目はほとんど変化がない

具体的な内容は、より木製に近い金属バットにするようです。芯で捉えないと飛んでいかない、芯で捉えても現在のバットのようには遠くに飛んでいかないのが予想されます。通算ホームランにも影響が出てきそうですね。発売されたら、一度『飛ばないバット』で打ってみたいですね!

グローブの歴史を知りたい方はこちら↑

まとめ

いかがだったでしょうか?現在のバットになるまでの歴史を遡ると先人たちの知恵や工夫に触れることができますよね。木の棒から始まったバットの歴史は

  • 規定がなく、どんな形状・重さのバットでも使用して良かった
  • 重さの規定が入り、続くように断面が円形と規定
  • 日本に野球が伝来してきた当初は自分たちで削って形にしていた
  • メジャーの名バッターたちがオリジナルのバットを発明
  • 金属バットを使うようになったのは経済的理由が1番
  • 表面に特殊研磨加工により飛ぶバットが誕生
  • 2024年により木製に近い『飛ばないバット』に移行が決定

グローブやバットと同じくらい野球の発展、そして選手のプレーを最大限に発揮している道具のといっても過言ではないでしょう。来年から高校野球では『飛ばないバット』に移行していくなど、選手の力を最大限発揮できるようにメーカーも開発に取り組んできています。

これからも様々な流行りや問題が起こりより道具の規制が厳しくなるでしょう。道具だけではなく、多方面で発展し続けている現代の野球。それでも昔と変わらずバットがバッターの力を最大限に発揮していくでしょう。

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