「突然、何の前触れもなく、いつもの簡単な送球ができなくなった…」
あなたは今、誰にも言えない不安を抱えているのではないでしょうか。
グラブを握るたびに緊張し、チームメイトに迷惑をかけてしまうのではないかという焦りで、野球を楽しめなくなっているかもしれません。
野球イップスに悩む選手の約70%が「周囲に相談できない」と感じているというデータもあります。
しかし、プロ野球選手でさえも経験し、実際に克服してきた問題なのです。
この記事で得られることは次の5つ
・野球におけるイップスとはどんな症状なのか理解できる
・イップスの症状を理解し、自分がイップスの症状が出ているのか判断できるようになる
・イップスの原因がわかり、改善し治すことができる
・ポジション別でどのような状況でイップスが出るのか知ることができる
・イップスを克服するためのプランを複数用意できる
野球イップスの原因から具体的な克服方法まで、スポーツ心理学の専門家の見解と実際に克服した選手たちの体験談を交えながら、あなたに寄り添った形で解決策をご紹介します。
もう一度、あなたの野球人生を取り戻すための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。
この記事の監修者
今回のコンテンツでご協力いただいた方を簡単にご紹介させていただきます!
・島根で理学療法士として活動している坂田さん
・日本大学修士課程(人間科学)
・スポーツメンタルトレーナー
・スポーツアナリスト
・日本野球学会所属
個別対応型で介護予防&ケガ予防を取り組むんでいます。
坂田さん自身、イップスの経験があり、現在はイップスに悩む球児の相談に乗り、治した経験もあります。
監修者坂田さんの運営するサービスのHPはこちらからFuture Vision
野球イップスとは?基本から徹底解説
結論、イップスとは、スポーツパフォーマンスにおける微細な運動技能の実行に影響を及ぼす心理,神経筋の障害と定義されます。
もっと簡単に言うと無意識にできる野球の動作が急にうまくできなくなる状態のことを言います。
野球においてはピッチャーの投球、野手の送球イップスが多く知られています。
実際には打撃や走塁でも発生しているケースもあります。
例えば、イップスの症状だと思われるプレーは次の通り
- リリースポイントがわからない
- リリース時に指にかからず指先の感覚が乏しい
- 動作をチェックしながら投げる
- 腕に力が入らない、入りすぎる
- トップの位置やテイクバックが気になる
- 短い距離で投げるのが難しい
イップスの症状の特徴は次のようなことが挙げられます。
- 練習は普通にできるのに、試合になるとできなくなる
- 体が思い通りに動かない
- 手や腕が固まったりする
- 少しボールが変な方向に逸れてしまう
- 投げる直前に体にストップがかかる(一時停止する感覚)
- 投げようとすると暴投するイメージが唐突に湧いて、現実になる
練習では普段のプレーができていますが、試合になると練習のプレーを忘れてしまったかのように別人と思うくらいプレーが変わってしまいます。
その動揺から体が思い通りに動かなくなって指先が固まってしまいます。
イップスの時は腕が思いきり振って悪送球する状態とは異なります。
中途半端になっていたり、腕が縮こまった状態で送球するためゴロ送球になったり、引っ掛けてしまって左右に大きく逸れます。
イップスの重要なポイントは次の4つです。
- 病気ではない
- 誰でもなる可能性がある
- 治すことができる
- 1人で悩まず、コーチ、先生に相談することが大切
イップスはあるきっかけを機に誰もがなる可能性があります。
しかし、イップスは病気ではないので、症状がチームにうつったりすることはなく薬を使用した治療もありません。
克服することも可能で1人で悩まず、気軽に話すことができるチームメイトや指導者に打ち明けることが克服する第一歩です。
野球イップスとはイップスの7つの原因
送球イップスの傾向が送球時の不安や緊張が高い人の特徴とその環境は次の3つが挙げられます。
- 送球が失敗しないように投げている程度が高い
- 自らの思考へとのとらわれが強い
- ミスに対してコーチ、監督、チームメイトからの叱責される雰囲気がある
また、心理的な要因以外の原因は次の4つが挙げられます。
- ミスプレー
- 肩や肘の故障
- フォームの変更
- オフ明けの練習
大きく自分自身の意識、心理的要因とプレーする環境が原因になることが考えられます。
野球イップスの原因|「失敗したくない」意識が危険信号
野球でイップスに悩む選手によく見られる特徴の一つが、「送球を失敗しないように慎重になりすぎる」という傾向です。
イップス経験者問わず、こんな経験はありませんか?
- 球を送る前に「絶対に失敗したくない」と強く意識する
- いつもより丁寧に投げようとしてしまう
- 送球の際、体が硬くなっている
- 普段の練習では問題ないのに、試合になると大胆に気がつく
練習では難しい体勢からの送球もできたりする選手が、試合ではなんてことない打球で暴投してしまうのは、意識が丁寧に投げようとしている傾向があります。
練習は丁寧に投げようと思って投げていないのに、試合では失敗したらいけないと強く意識が働いてしまっています。
なぜ失敗したくないという意識がイップス克服において危険なのか。
理由は4つあります。
- 自然なプレーでも失敗してしてしまう
- 体が必要以上に緊張する
- スムーズな送球動作ができなくなる
- ミスを誘発してしまう
これまで無意識でできていたプレーが初心者のように意識をしながら投げていると当然初心者のような低いパフォーマンスしか発揮することができません。
失敗が許されないと自分の意識が緊張状態にあると、体も緊張してしまいます。結果、スムーズな送球動作もできなくなり、同じミスを繰り返してしまいます。
野球イップスの原因|頭で考えすぎ
次に野球でイップスに悩む選手の多くに見られる特徴として、「自分の動きを考えすぎてしまう」という傾向があります。
考えすぎている人のサインは次のようなことを意識しています。
- 投げる前に「どうやって投げようか」と何度も考える
- プレー中に「フォームは正しいだろうか」と意識する
- 「この角度で投げれば良いはず」と計算しながら投げる
- 「周りの目が気になる」と常に意識してしまう
私の知人は先輩とバッテリーを組み、練習試合で先輩の父が主審をしていました。
「あそこは〇〇を要求するべきだった」
「君のキャッチングのせいでストライクがボールになった」
「ピッチャーへの返球は胸付近に投げないと取りづらい」
とかなり詰められた結果、
「次投げる球はこれでいいのか?」
「捕るときは下から上にと意識する」
「指にしっかりかけて相手の顔付近を目掛けて投げる」
このように、一つ一つの動作を頭で考えながらプレーするようになり、それまでできていた普通の送球さえも真面目に考えたのです。
なぜ考え過ぎが危険なのか、理由は3つあります。
- 反射的な判断が遅くなる
- スムーズな動作が途切れる
- 本来の実力が発揮できない
キャッチャーを初めて間もない初心者が捕ることばかりに意識がいきます。
バッターの様子を見ることもなく、さらには盗塁への判断も遅いように、反射的な判断が鈍くなります。
野球に限らず意識して体を動かしているうちは誰しもスムーズな動きはできません。
無意識の状態でできるまでやって初めてスムーズな動きができるようになります。
無意識でできるプレーを意識的にやることはスムーズな動作が途切れてしまい、低いパフォーマンスしか発揮できなくなります。
本来はそれなりの実力がある選手もそのプレーは無意識のうちにやっていたり、判断していることがほとんどです。
そのプレーを意識してやるというのは、初心者のレベルでプレーしていることになります。
当然、本来の実力が発揮できなくなります。
野球イップスの原因|「失敗はできない」環境
イップスの大きな原因の一つに、「チーム内でミスに対して厳しい叱責がある」という環境上の懸念があります。
失敗を恐れる雰囲気は、選手のメンタルヘルスに大きな影響を与えません。
野球をしていて、かつ、この記事を読んでくださる皆さんならこんな環境に心当たりはありませんか?
- ミスをすると必ず厳しい責めがある
- エラーの度に長時間説教される
- チームメイトの対立や雰囲気が冷たい
- 「ミスは絶対にない」という空気がある
なぜ厳しい叱責が危険なのか、理由は4つあります。
- 常に緊張した状態でプレッシャーが生まれる
- 自信がなくなる
- 挑戦する意欲がなくなる
- チーム全体の雰囲気が悪くなる
どんなプレーをしても叱責ばかりされる環境では、いつも周りの評価を気にしてしまいます。
プロ野球選手でもないのに、プレッシャーのある環境でいいプレーができないと自信をなくします。
頭の中では
「どうせ無理」
「また失敗してしまう」
「また怒られてしまう」
とネガティブ要素がいっぱいになり、挑戦するどころか現状維持も難しい状態になります。
そんな選手がいるチームは同じ方向を向いて戦えることはないのでチームにも悪影響を与えることになります。
野球イップスの原因|ミスプレー
イップスはある1つのミスプレーでイップスを引き起こすこともあります。
正確にはミスプレーをしてその後、脳裏にミスプレーが思い浮かびイップスになってしまいます。
私の知人は学生時代、ピッチャーで初めて頭部に投げてしまったことをきっかけにその次のバッターから指先の感覚がなくなってしまい、制球ができなくなってしまった経験があります。
また、大事な試合でこのゴロを捌いてアウトにしたらゲームセットの場面で暴投をしてしまったことがきっかけで普通のゴロもアウトにできなくなりレギュラーから外されてしまいました。
周りはなんとも思っていないただのミスプレーであっても、その場の雰囲気、歓声などが本人にはものすごいショックを与えてしまうこともあります。
野球イップスの原因|肩や肘の故障
ミスプレーの次に多い原因は怪我によるイップスです。
故障によるイップスになる原因は次の3つが考えられます。
- ケガによる身体の制限
- フォームの乱れによる自信の喪失
- 不安と緊張がイップスを引き起こす
一度肩や肘を痛めてしまうと、その痛みが消えても「またケガをするのではないか」という不安が残ります。
この不安がきっかけとなり、投げ方がぎこちなくなったり、動作がスムーズでなくなったりすることがあります。
その結果、投げたい方向に投げられなくなる、キャッチボールがうまくいかないといったことが起こりやすくなります。
痛みがあると、身体は無意識に「これ以上動かすと痛い」ということを避けようとします。
そのため、自然にフォームが変わってしまい、違和感を覚えて本来の投球ができなくなるケースがあります。
ケガ明けは投球フォームを忘れて、以前と同じように投げれないことがあります。
フォームが崩れることで、ボールのコントロールがうまくできなくなり、ミスが増えます。
これにより、「また失敗したらどうしよう」「投げられないかも」といった不安が増していきます。
自信の喪失により、さらにフォームが乱れ、パフォーマンスが下がり、悪循環に陥りがちです。
投げ方や投球フォームの悪さがイップスに直結しているわけではなく、投げ方によるパフォーマンスの低下、無意識にできていたことができなくなることでイップスの原因になっています。
ケガによる不安が積み重なると、リラックスしてプレーができなくなり、緊張が過剰になります。
ケガをすると良くも悪くもトレーナーや理学療法士さんに投球フォームの改善、矯正をさせられることがあります。
これまで何万球と投げていた投球フォームを1から作り上げることは並大抵のことではありませんし、投球フォームを意識的に確認しながら投げるようになります。
「また痛みが出るかも」という不安が頭から離れないと、思い切りの良い動きができなくなります。
野球イップスの原因|フォームの変更
野球選手のイップスには、しばしば「投球フォームの変更」が大きな引き金となっています。
なぜフォームを変更すると、かえってイップスに悩まされてしまうのでしょうか。
フォームの変更は基本的にコーチに指示されて変更することがほとんどです。
慣れない投球フォームに違和感を覚えてパフォーマンスが発揮できなくなります。
不安や自信喪失から元のフォームに戻しても以前と同じようにパフォーマンスが発揮できなくなるからです。
イップスの経験がない方はバッティングフォームの変更を思い浮かべてみると良いでしょう。
フォームを変更すると、それまで慣れ親しんだ動作から新しい動きに切り替える必要があります。
いきなり新しいフォームでプレーを始めると「体がいつもと違う」という違和感が生まれることが多いです。
この違和感は、少しずつ「前のバッティングフォームの方がよかった気がする」という不安へとつながりやすくなります。
この時、「以前はもっと安定していたのに…」と感じてしまうことが多く、今のフォームが果たして正しいのか、迷いが生じます。
特に試合や練習で結果が求められる場面では、その焦りがさらにプレッシャーとなり、力が入ってしまいます。
このようにして、フォームの変更によりこれまで無意識にできていたプレーができなくなりイップスになってしまいます。
野球イップスの原因|オフ明けの練習
野球シーズンオフの長期休みを経て、新シーズンの練習に復帰する時期は、イップスが発症しやすい危険な時期だと言えます。
理由は久しぶりの練習で感じる感覚のズレから思うようにいかないプレーに焦りや不安になるからです。
オフ明けの練習で起こる心理的変化 長期休みを経て、再び練習に励む際には、選手の心理面でさまざまな変化が起こります。
長いオフ期間の間、体も心も野球から離れたことで、体が以前の感覚を忘れてしまうことがあります。
特に、投球フォームやボールをリリースするタイミングに違和感が生じ、「うまく投げられるかな?」と不安に感じることが多いです。
この不安が、すでに頭の中で「失敗したらどうしよう」というプレッシャーを生み出すきっかけとなります。
思うようにいかない自分に対する焦りが生じる
オフ前にはできていたことが、オフ明けの練習で急に思うようにできなくなると、「なんでだろう?」「どうしてできなくなったんだろう?」という焦りや不安が生まれます。
結果、元のプレーの感覚が全くわからなくなってしまいます。
さらに、周囲がすでに調子を取り戻している中、自分だけが遅れを感じると、その焦りがさらに自分を追い込み、不安が積み重なっていきます。
このような焦りからミスが続くことでイップスを引き起こすことになります。
イップスの治し方
イップスに効果的なアクションは次の3つがあげられます。
- 思考と距離を置く
- スポーツ本来の目的を見直す
- ミスに対する指導方法の改善
イップスは専門家の指導が絶対必要ではなく、誰でもできることであり、知っているか知らないかの差です。
イップスの治し方|思考と距離を置く
イップスで大きく変わることは心理的な要素です。
つまり、意識です。
長年の反復練習で無意識のうちにできていた、投げる、打つ、走る、捕るの動作ができなくなります。
イップスでは意識が意識しながら動作をしてしまい、結果低いパフォーマンスしか発揮することができなくなります。
ものごとを克服する際、つい集中的に学習をしたり反復練習をしようとしたことがありますよね。
実はイップスの克服には逆効果だったりします。
集中的に取り組むよりも、適当な休憩を取り、繰り返し学習を行い分散した方が効果が長く期待できます。
イップスの克服のため、スローイング以外の練習をやらないではなく、30球投げたら100本素振りをして分散して取り組むことをおすすめします。
イップスの治し方|スポーツ本来の目的を見直す
野球のイップスは、「プレーへの過剰な意識」が原因の一つです。
理由は選手が「失敗してはいけない」という強い意識に捕らわれ、自然な動きができなくなってしまうからです。
本来の目的はスポーツは単に勝つことだけが目的ではなく、仲間と協力しながら全力で競い合い、自己実現を図ることです。
「勝つ」ことから「楽しむ」ことに意識を切り替える
- 試合に勝つことにとらわれずに、自分の力を存分に発揮して戦うことを目標にする
- 失敗を恐れずに、思い切って挑戦する姿勢を持つ
チームメイトとの絆を深める
- チームメイトと助け合い、励まし合う関係を築く
- フィールド内外で互いに信頼し合える関係性を醸成する
コーチ・監督と良好な関係性を築く
- 厳しい指導ではなく、選手の気持ちに寄り添う指導者との信頼関係を築く
- 失敗を咎めるのではなく、前向きなフィードバックをもらえる環境を作る
私が取材したチームは勝利主義ではなく、成長主義のチームでした。
未経験の学生も入部するため、1年間は勝つことが難しいです。
しかし、3年生になれば上の大会まで勝ち残ることができ結果3年間で成長と成功を手に入れる体験を掴んで、高校でも野球を続けることができています。
スポーツの本来の目的である「楽しむこと」「仲間と高め合うこと」に意識を向けることで、イップスの克服につながるのです。
イップスの治し方|ミスに対する指導方法の改善
多くの選手がイップスに悩む背景には、「ミスを許されない雰囲気」があります。
厳しい叱責や罰則によってミスを恐れるようになり、自然な動きができなくなってしまうのです。
そこで大切なのは、ミスに対する指導方法を改善し、選手がリラックスしてプレーできる環境を整備することです。具体的には以下のような取り組みが考えられます。
ミスに対する怒鳴り声や罰則を減らす
- 選手を威嚇するような指導ではなく、肯定的なフィードバックを心がける
- 練習中のミスは許容し、試合中のミスにのみ注意を払う
選手の気持ちに寄り添う指導者との信頼関係を築く
- 選手一人ひとりの心情を理解し、共感的な態度で接する
- 厳しさと優しさのバランスを取り、選手が安心して打ち明けられる関係性を築く
ミスから学ぶ機会を設ける
- ミスの原因を一緒に分析し、次につなげられるヒントを見つける
- ミスから学ぶポジティブな姿勢を持つよう、選手を導く
私が取材した中学野球チームでは指導者と選手の距離感が近く、選手自ら練習中に休憩が取れる雰囲気、体勢ができていました。
試合で打てなかったときも叱責することはなく、「なんで打てないんだと思う?」と一緒に考えるスタンスで選手をのびのびとプレーさせていました。
このように、ミスに対する指導方法を改善し、選手の心情に寄り添う環境づくりが、イップス克服につながります。
イップスの特徴と症状をポジション別で紹介
ここまででイップスの定義、原因とイップスの治し方について説明してきました。
最後に、実際イップスを体験したことのある方の話を基にポジション別でイップスになった時の特徴と症状について話します。
投手特有のイップス症状
投手のイップス症状に多いのが、あるミスプレーをきっかけに指先の感覚を失い、ストライクが入らなくなることです。
私の知人はある試合でピッチャーをしていました。
バッターに対して、たった1球すっぽ抜けてバッターの頭部にボールが直撃しました。
そのミスをきっかけに指先の感覚がなくなり、制球が定まらず降板しました。
たった1球、それまでは当たり前のようにストライクが投げれて、指先にボールがかかる感覚もありました。
原因は相手バッターの頭部に直撃したというミスプレーがイップスを引き起こしました。
内野手の送球イップス
内野手の送球イップスに多いのが、ある短い距離が投げれなくなることがです。
ある短い距離とは次のような距離を言います。
- サード、ショートの場合はゲッツーを取るときの、2塁への送球
- ランナー1、2塁で三遊間のゴロをショートからサードでアウトにする時の3塁への送球
- セカンドからファーストへの送球
サードから、ファーストへの遠投やショートの深い位置からファーストへの遠投でイップスになることはあまりないです。
遠くもなく、かといってすごい近いでもない距離で変に力を抜いてしまったりすることですっぽ抜けてしまいます。
全力で思い切り投げる距離ではないので、力加減がわからなくなり変に力を抜いて投げることで本来のスローイングができなくなるケースが多いです。
捕手の送球イップス
キャッチャーの送球イップスに多いのがピッチャーへの返球です。
18メートルという遠くもなく、とても短いわけでもない、かつ、ある程度の手加減が必要な距離感だからこそイップスに起きるリスクがあります。
私の友人の話をします。
私の友人は中学時代、能力に優れて2年生からキャッチャーとしてレギュラーとしてプレーしていました。
ある日、紅白戦で3年生のエースとバッテリーをしていました。
主審を務めていたのはエースの父でした。
ボールが先行すると「今はコーナーを要求する場面じゃないだろ」
ピッチャーへの返球が低かったり、速かったりすると「もうちょっとピッチャーのことを考えて返球してやらんか」
キャッチングが悪いと「今の球はお前のキャッチングが悪かったせいでボールになった」
結果、その友人はピッチャーへの返球が返せなくなってしまい、キャッチャーから外野にコンバートしました。
ことあるごとに保護者から叱責を受けて、自分のプレーを全否定されるように受け止めてしまい精神をやられたことがイップスの原因でした。
セカンドスローイング、1塁、3塁への送球がものすごくいい送球ができるのにもかかわらず、ピッチャーへの返球というある一定距離でのスローイングで投球イップスになりました。
まとめ:イップスの対処法
ここまで野球イップスについて、その定義から原因、具体的な克服方法を紹介しました。
さらにはポジション別の特徴と症状を実際にイップスを体験した方の話を用いながら詳しく解説してきました。
イップスは決して珍しい症状ではなく、多くの選手が経験する可能性のある心理的な課題です。
しかし、適切な理解と対処法を知ることで治して今までのようにプレーすることも可能です。
重要なポイントをまとめると: ・イップスは誰にでも起こりうる一時的な症状である ・原因を理解し、自分に合った克服方法を見つけることが大切 ・焦らず、段階的なアプローチで改善を目指すこと ・必要に応じて専門家やコーチに相談することも有効
・イップスはけがではなく、心理、神経筋の障害である
・原因を理解し、周りやチームの協力を得ながら治していく必要がある
・イップスの克服するための練習ばかりしても効果は薄く、休憩を取ることが大事
・必要に応じて専門家やコーチに相談、マンツーマンでの指導も有効
・イップスはある一定の距離を投げるポジションに起こりやすい
本記事が、イップスに悩むすべての野球選手の方々の気づきと道しるべとなれば幸いです。
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