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【保存版】侍ジャパン 歴史的名試合をプレイバック

およそ3ヶ月前にWBCで日本中を沸かせた「侍ジャパン」。これまでの歴史を振り返り、歴史的試合を振り返りたいと思います。

WBCの歴史

WBCとは通称ワールド・ベースボール・クラシックの略です。どんな大会か、一言で言うと『野球の国別対抗戦・公認の世界一決定戦』です。

 歴史を遡ること1990年代。その頃からメジャーリーグでは、今では当たり前のことですが、東アジア、北中米選手を中心にメジャーリーグの『国際化』が進んでいました。アメリカ合衆国以外の国籍を持つメジャーリーガーの活躍が著しく増加していきました。

それに伴いMLB機構は本格的な世界進出によるMLB拡大と野球マーケットの拡大収益の拡大を目指し『野球の世界一決定戦』の開催を宣言したのが始まりです。それから2006年MLBから招待された16カ国による第1回大会が開催されたのです。

各国の優勝成績

これまでWBCは2006年、2009年、2013年、2017年、2023年の計5回行われてきました。各年決勝戦、優勝国は以下の通りです。

開催年優勝国決勝戦
2006日本日本 10-6 キューバ
2009日本日本 5-3 韓国
2013ドミニカ共和国ドミニカ 3-0 プエルトリコ
2017アメリカ合衆国アメリカ 8-0 プエルトリコ
2023日本日本 3-2 アメリカ

優勝成績は日本が3回、ドミニカ1回、アメリカ1回となっています。また、2023年大会が終わり、世界ランキングは以下の通りです。

順位国名
1位日本
2位アメリカ合衆国
3位メキシコ
4位チャイニーズ・タイペイ
5位韓国
6位ベネズエラ
7位キューバ
8位オランダ
9位オーストラリア
10位ドミニカ共和国

順位はこれまでの成績や大会の結果によって変わりますが日本がこれから世界ランクが落ちていくことはないでしょう。

出場資格

WBCに出場するにはいろいろなルールを満たさないとその国で出場が認められないことがあります。

以下の条件、いずれかを満たしていることが最低条件になります。

  • 当該国の国籍を持っている
  • 当該国の永住資格を持っている
  • 当該国で出生している
  • 親のどちらかが当該国の国籍を持っている
  • 親のどちらかが当該国で出生している
  • 当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある
  • 過去のWBCで当該国の出場枠に登録されたことがある

順番に解説していきます。

当該国の国籍を持っている

まずはその選手が当該国の国籍を持っていることです。日本ではほとんどありませんが、移住するために国籍を放棄する選手もいるので、そういった選手は出場資格がなくなります。

当該国の永住資格を持っている

その国の永住資格を持っていることも条件です。日本だと「10年以上日本に在留し、かつ、就労資格・居住資格を持って5年以上在留していること」が条件です。その年の大会だけ出たい国で出ようとすることはできないようになっています。

当該国で出生している

当該国で出生していることも条件になります。今回だと日本代表でプレーしたラーズ・ヌートバー選手はこれには該当されません。彼は生まれと育ちがアメリカなのです。

親のどちらかが当該国の国籍を持っている

仮に今回のようにヌートバー選手のように日本で出生してない場合でも、親のどちらかが当該国の国籍を持っていると出場資格は満たすことができます。

親のどちらかが当該国で出生している

これは前記を重複する形になりますが、日本人だからといって生まれが外国だと出場資格は満たせないのです。

当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある

国によって違いはありますが日本の場合だと国籍の取得資格は

  • 引き続き5年以上日本に住所を保有すること
  • 20歳以上で帰化しようとする外国人の本国法により能力を有すること
  • 素行が善良であること
  • 自己の技能によって生計を営むことができること
  • 国籍を有しないか、または日本の国籍を取得することによってその国籍を失うべきこと
  • 日本国政府を暴力で破壊することを主張、企て、またそのような趣旨の団体を結成、加入したことがないこと

があげられます。これは満たすことができればいいので、その時点で国籍を持っている必要はありません。

過去のWBCで当該国の出場枠に登録されたことがある

前回大会で出場したことがある選手は次回大会でも出場が認められます。日本では滅多にありませんが、ドミニカ出身の選手はアメリカの市民権を得るために母国の国籍を放棄する選手も珍しくはありません。

イタリア代表だとイタリア人よりもイタリア系アメリカ人が多く選ばれたりしています。

2023年 決勝戦 日本対アメリカ

歴史的試合と思い浮かぶのが野球ファンの記憶にも新しい2023年3月に行われたWBC決勝戦。日本対アメリカでしょう。スターティングメンバーの10人の選手の年齢、年俸などをご紹介していきます。

アメリカ

選手  年齢身長/体重所属年俸
ムーキ・ベッツ30歳175/81ドジャース33億7500万
マイク・トラウト31歳188/106エンジェルス50億1000万
ポール・ゴールドシュミット35歳190/99カージナルス35億
ノーラン・アレナド32歳188/98カージナルス47億2500万
カイル・シュワイバー30歳183/103フィリーズ27億
トレー・ターナー30歳188/84フィリーズ36億8000万
J.T.リアルミュート32歳185/96フィリーズ24億4000万
セドリク・ムリンス28歳173/79オリオールズ5億5000万
ティム・アンダーソン30歳185/84ホワイトソックス16億8000万
メリル・ケリー34歳188/91ダイヤモンドバックス7億3000万
スターティングメンバー全員が30歳を超えています。最高年俸がマイク・トラウト選手の50億1000万です。

日本

選手年齢身長/体重所属年俸
ラーズ・ヌートバー26歳191/95カージナルス1億2000万
近藤健介30歳171/86ソフトバンクホークス1億9500万
大谷翔平28歳193/95エンジェルス43億
吉田正尚29歳173/80レッドソックス21億
村上宗隆22歳188/97ヤクルト6億
岡本和真26歳186/100巨人2億7000万
山田哲人31歳180/76ヤクルト5億
源田壮亮29歳179/75西武3億
中村悠平33歳176/83ヤクルト1億7000万
今永昇太29歳178/86DeNA1億4000万
スターティングメンバーの3人だけが30歳を超えており、7人が20代の選手となっています。

最高年俸はメジャーリーグの大谷翔平選手の43億、プロ野球は村上選手の6億です。

得点シーンを振り返る

次は試合の結果を踏まえて得点シーンを振り返っていきます。

https://youtu.be/8ZJuGSAZQIQ
決勝戦ハイライトはこちら↑

日本0-1アメリカ 2回表 先発今永投手が6番ターナー・トレーナー選手にストレートをレフトスタンドへ運ばれアメリカに先制点を許す

日本1-1アメリカ 2回裏 先発メリル・ケリー投手から5番村上選手が初球をライトスタンドへ運びすぐさま同点に追いつく

日本2-1アメリカ 2回裏 1アウト満塁のチャンスで1番ヌートバー選手がファーストゴロを打ちその間に生還

日本3-1アメリカ 4回裏 2番手A.ループ投手から先頭の岡本選手が左中間スタンドへホームランを放ち点差を2点に広げる

日本3-2アメリカ 8回表 6番手ダルビッシュ投手が1アウトで5番カイル・シュワバー選手に右中間スタンドへ運ばれ1点差に追い詰められる

勝敗を決めた要因を徹底解説

試合は日本が7人の継投でアメリカ打線を抑え見事歴史的勝利を収めました。試合を通して観て感じたことを解説していきます。

なんといっても勝てたのはアメリカ打線を2点に封じ込めた投手陣です。

元巨人でプレーしていてアメリカ代表に選ばれた:マイコラス投手が決勝戦を予想したところ、「2−1」と投手戦になることは間違いないと話しました。点差は違いますがかなり的を得ています。

それだけ、両国の選手は始まる前から少ない得点でいかに抑えることができるかを考えていたのです。先発に今永投手が起用されたのは、

  • 今大会調子がとても良かったから
  • アメリカにデータのない投手だったから

です。しかし、今永投手は当日、緊張のせいか、ブルペンでの投球では一球もストライクが入らなかったそうです。

大会後の首相官邸で表敬訪問の様子

また、緊張のあまり、試合を終えた後も投げた記憶がほとんどないようです。大歓声の前でプレーすることに慣れているプロ野球選手でさえ、日の丸を背負って敵地アメリカの大歓声を前にすると緊張するのです。

 現地で観戦していませんがWBC限らず、「国際大会」ならではの独特な雰囲気もあるようですね。ホームランを打たれたトレー・ターナー選手は今大会5本目となるホームランでした。ランナーを背負った場面でのホームランだけ避けており、ソロホームランを浴びた、先制点を許したのは日本は許容範囲だったでしょう。

 この試合、ヌートバー選手のアウトの間に点を挙げたのを除くと全て「ソロホームラン」で得点を挙げています。アメリカは準決勝のキューバ戦で14得点を挙げています。そのうち7得点がホームランによる得点だったのです。

メジャーリーグは下位打線までホームランバッターが続くと聞いたことがありますが、打順に関係なく全員にホームランがあるバッターが1番から9番までいるので恐るべし打線です。準決勝から大量得点を挙げたアメリカ打線をなぜ2点に封じ込めることができたのか。

 それは『徹底して低めの球で勝負した』点です。もちろん、マイク・トラウト選手のような低めが強いバッターが当然いますがそんなバッターに有効なのが『落ちる球』です。

『チェンジアップ』『スプリット』『フォーク』です。7人の投手全員がいずれかの落ちる球を持っていて勝負球は低めの変化球でした。

https://youtu.be/W-sJY2lUW5E

低めが強い打者ほど、低めにはバットを振ってくるので針に糸を通すコントロールでバットを振らせることができたんだと思います。

https://youtu.be/TOasRR-Bloo

野球の基本である、『アウトコース低めに投げる』ができていました。試合では毎イニングのように投手が交代し、マウンドに上がって0点で抑えていましたが当たり前のことではありません。

変わって投げる投手にはとっては何イニングに関係なく『初回』と同じ状態で挑むわけです。よくプロ野球や高校野球ではエースの立ち上がりに先制点を挙げたことを見ると思いますがこの国際試合ではそれは許されないのです。

 7人のうち、日頃リリーフ・抑えで投げているのは大勢投手たったの1人です。先発投手がリリーフは簡単そうに思えて実はマウンドに上がるまでの準備含めて全く違います。リリーフ投手は短いイニングを0点で抑えるのが役割です。

先発投手は長いイニングを投げていかに少ない失点で試合を展開できるかという任された役割が全く違うのです。先発投手の中にはイニングを重ねるごとに調子を上げる投手もいますが継投ではそれは許されません。

1球目から自分のベストボールを投げないといけないのです。任されたイニングをアメリカ打線を0点で抑えるのは想像できないほどの緊張感だったと思います。巨人で抑えを任されている大勢投手はシーズン中はブルペンで10球程度しか投げていないのですが、決勝戦のブルペンでは1試合分を投げるかのようにずっと投げていました。

それだけ準備をしてマウンドに上がり抑えていったのは圧巻のピッチングでした。これだけの継投をしてよく全員が9回まで繋いだと思います。

次の開催年はいつ?

おおいに盛り上がった2023年のWBC。今大会は永久に野球史に語り継がれる大会になると思います。

次の開催年は2026年です。

その前に2024年11月に開催されるプレミア12も控えています。プレミア12は2019年に行われた前回大会は決勝戦韓国を破り大会初優勝を飾りました。現在日本は国際大会での成績は

  • 2019年プレミア12 優勝 
  • 2021年東京五輪 優勝
  • 2023年WBC 優勝

と3大会連続優勝。来年のプレミア12は2連覇と4大会優勝がかかっています。ここで気になるのは『監督』です。5月に侍ジャパンの監督退任の記者会見を終えたばかりなので次の日の丸を背負う監督に注目です!

大会の課題

これだけ世界中の野球ファンにとどまらず、全世界を沸かせる野球の国際大会ですが、問題とされているのが選手のコンディショニング含めた調子が狂うことです。

大会出場したプロ野球手、メジャーリーガーの中にはものすごく成績を落としてしまっている選手も少なくありません。逆に国際大会に出てからハイキャリアを積んだというのはあまり耳にしないのが現状です。なので、国際大会ではとくにメジャー球団に在籍する日本人プレーヤーを召集するのはとてもむずしいのです。

 国の代表を背負う選手なので球団もかなりの年俸を選手に払っている中で、シーズンの成績に関わらない名誉をかけた試合で完全燃焼して、コンディション悪化、最悪の場合、怪我をしてチームに復帰されては困るのです。

現に今大会準々決勝戦が終わるとリリーフ投手の広島カープの栗林投手は肘の痛みでチームから離れました。

全てが国際試合に出たから調子が悪くなったとは一概には言えませんがシーズン前に大会が終わり、心身ともにどこかにゆとりや満足感のようなものが出ているのかもしれません。

あくまでも本番は年間150試合以上戦う試合です。次回大会は11月です。シーズンが終わり体を休める時期もしくは、優勝を賭けたクライマックスシリーズ、ワールドシリーズ中です。

召集をかけても球団側にストップをかけられるメジャー選手プロ野球選手はいると想定した方がいいでしょう。それでも次回大会も今大会以上に盛り上がる大会になるでしょう。

今後の展望

これまでのWBCの歴史を振り返ってみていかがだったでしょうか。今大会だけではなく、毎大会で歴史的試合やドラマが生まれます。2024年のプレミア12、その2年後に控えているWBC。

今大会優勝できたからといって次の国際大会で勝てる保証なんてありません。大会2連覇、4大会連続優勝は誰もが意識してしまうでしょう。また、相手各国も『打倒日本』で襲いかかってくることでしょう。

今のやり方では勝てなくなったり、徹底的に分析されることでしょう。その中でも頭を使い、思考を巡らせていく。今後も国際大会で日本が優勝していくには

「力対力」の勝負ではなく「知力対知力」の試合をしていかなくてはいけません。パワー、スピードではメジャーリーガーの方が圧倒的だからです。相手から徹底分析されてもなお、打つ、抑えてくとさらに日本の野球が進化していくことでしょう。

まとめ

WBCの歴史や出場している選手、試合を振り返ってみると3ヶ月前の興奮と感動を思い出しますね。これからも野球大国日本が世界の野球を進化させていくことになるでしょう。

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