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【高校野球】甲子園だけが高校野球ではない〜それぞれの夏〜

沖縄、北、南北海道で夏の甲子園の予選が繰り広げらています。今大会の注目選手や優勝候補が注目されています。『高校野球といえば甲子園』なんて思う方も多いでしょう。夏の風物詩とも言える甲子園。元気ハツラツとして、甲子園のお舞台でプレーする高校球児には勇気と感動を与えてくれます。

 高校野球をしてきた私は一握りの選手と同じくらい大事にしてほしい、高校野球があります。ただ、高校野球は1人1人のかけがえのない野球人生が詰まっているのです。

今回のコンテンツでは甲子園だけが高校野球だけが甲子園ではないことがわかるそんなコンテンツとなっています。

総勢100人を超えるチームの中で

各都道府県の甲子園を目指す「全国制覇」を掲げている強豪校はたくさんあります。多いところは部員は1学年30人以上が集まり、総勢120人以上の大所帯を抱える野球部もあります。その入学してくる選手の大半は野球推薦で高校からスカウトが来る選手がほとんどです。

 しかし、強豪校、公立校関係なく、試合出場するベンチ入りメンバーはたったの「20人」そのうち、グランドにたてるのはわずか「9人」100人以上のチームの中には一度も公式戦でプレーしたことがない。また、ベンチ入りしたことがない、そんな選手もいます。ある甲子園常連校は部員130人を超えA〜Eチームに分かれて日頃の練習をしています。限られたグランドと時間の中でしたのチームの選手は実戦の練習ができないそんな環境の中で練習に取り組んでいる選手もいるのです。

女で1人で育て二人三脚で歩んできた野球人生

野球に恵まれた環境でも、家庭環境やチーム編成によって毎日当たり前のように投げて、気持ちよくバッティングができるとは限りません。強豪校で野球をしている選手は中学時代にその地域でそれなりに成績を残してきた選手がずらりと入部してきます。家庭は母と2人で生活し、母は毎日朝から晩まで働き夜は帰ってきて晩御飯を作り、食べ終われば、息子の泥だらけのユニホームの下洗いを手洗いでやります。

 そんな母に恩返しをするために最後の夏、

「必ずメンバー入りして、背番号つけた姿を見せる。」

と母に約束していました。毎日夜遅くまである練習が終わってからも家に帰ってはバットを振ってこの夏に命をかけていました。夏の予選が始まるのは7月初旬。しかし、その前の組み合わせ、組み合わせの前には各都道府県の野球連盟に出場するメンバーを発表しないといけないルールがあります。実質6月の初旬にはメンバー入りは決まっているのです。この夏、惜しくもメンバーに選ばれなかった。この夏、日本一の応援をするために「応援団長」でプレーをする。

プロを目指してきた高校生活

高校入学当初から、中学ではリーグ内で

その選手の名前を知らない選手はいない、そんな選手も当然いる。私立から県内だけに止まらず、全国からスカウトが来る選手が地域のスター選手にはいるのだ。中学では選抜チームでアメリカ遠征に参加した経験があるほどの選手。しかし、入学すると通学や練習量の違いが中学とではっきりと出てくる。中学の硬式のクラブチームは多いところで平日3回くらいが練習日。夜遅くまでの練習があっても次の日の学校は家が近く朝、遅刻する寸前まで寝ていられる。

 しかし、高校となるとそうはいかない。中には通学で片道1時間かかる球児も私立、公立含めて少なくはない。朝は6時の電車に乗り、帰り最寄駅には夜10時を過ぎることなんてごく当たり前のようにある。プロを目指すと志したその球児は中学では183センチの恵まれた体格があり、将来を有望視されていたほどの逸材。まさにチームの看板選手だった。しかし、高校の練習のきつさに体がついてこない。練習だけで精一杯になる。そんな球児を支えてくれていたのは「母」だ。毎朝、6時に駅まで送り、その1時間前には昼ごはんから軽食、水筒は3リットルを準備して毎日送り迎えをしていたのだ。

 夏のベンチ入りメンバーに入れず、夏の予選を迎える前に一足早い「引退試合」に臨んだ。ここで誓ったのはただ一つ。

「プレーでお母さんに恩返しする」

そして迎えた引退試合。両校の大声援の中、初球を振り抜いた打球は快音を響かせレフトスタンドにアーチを描きスタンドへ、大歓声が巻き起こりその歓声の中、母は1人、静かに涙を流した。

偏差値70の球児〜野球・学業で日本一を目指す〜

誰もが、高校入学時に

「プロを目指したい!」

「大学でも野球を続けていきたい」

そんな華やかな球児ばかりではない。高校野球で野球人生にピリオドを打ち、家の家業を引き継ぐ者、就職して社会にでて働く者。球児のその後の人生は千差万別だ。その一例で進学校の球児をご紹介する。

 進学校は言わずと知れた「文武両道」がモットーだ。中には、野球をする=浪人の覚悟がある。そんな意味合いが持たれるほどだ。ただの進学校ではない。偏差値70以上、東大を目指すようなトップの集団なのだ。学業でも、野球でも頂点を目指している球児もいるのだ。朝は8時前には0限目があり、そこから7限目まで。勉強が終われば部活。なのだが、脳を勉強で使っているからグランドに来た時にはへとへとなのだ。

 まずは炭水化物をとり栄養を補給してから練習に入る。おおよそ5時には練習が始まる。練習といっても私立の練習のように専用のグランドがあるわけでも長い時間練習ができるわけでもない。グランドは他の部活と共同で使い、バッティングは外野に向かって打たずすぐに回収ができるようにバックネットに向かって打つ。

 学校の最終下校は7時。5時から練習してもたったの2時間しか練習ができない。そして、7時以降はほとんどの選手が塾に通い受験の勉強に励んでいる。補食やアップを含めるともっと短い練習時間だろう。そんな環境でも毎年、甲子園に出場することも珍しくない。それは選手の「自主性」を重んじて取り組んでいることが大きい。自分で課題を見つけて、克服するために最適な練習を取り組む。監督からの指示やコーチの指示ももちろん大事だが、それ以上に自らがどんな選手になりたくて、どんなプレーがしたいのか、理想がはっきり見えているのだ。そんな選手だからこそ、ただ毎日の練習を全力で頑張っている選手に比べて成長も速いと感じる。

 東大を目指すような学校の選手は甲子園常連にも引けを取らない。そんな雰囲気があるのだ。自分たちで策を練っていき、それをプレーで形にしていくのだ。夏の予選で敗退したら、すぐに受験勉強が待っている。夏休みも勉強に明け暮れる、そんな選手もいるのだ。

まとめ

いかがだったでしょうか?

これは全て実話をもとに話しています。甲子園でテレビの前で活躍している選手よりも夏は予選で敗退する学校の方が圧倒的に多いです。母子家庭で最後まで親が最大限のサポートをしたり、中学時は将来を有望視されてた選手も、怪我で試合に出られずに終わる。

東大を目指しながら、甲子園を目指す文武両道の球児。それぞれの夏があり、ここで野球人生にピリオドを打つ球児も少なくありません。

 私もその1人です。高校、大学とプロ野球選手を輩出するくらいの実績があるが強い学校からスカウトは来ましたが家庭事情や自分の体など色々な観点から断りを入れました。周りからは「野球を続けてほしい!」そんな声もたくさんもらいましたが今、こうやってグランドから離れて、外から野球を見ることで現役の時よりも視野が広く、野球の発信ができるのは僕なりの野球の携わり方だと思っています。全員が全員、野球だけに没頭できる環境でしているのではく、いろんな想いが詰まっているのが夏の大会です。

 試合に出るメンバーだけではなく、マネージャー、応援団、アナウンスなど、9つのポジションだけではなく、たくさんのポジションの球児がいてこそ、高校野球は成り立っています。夏の甲子園大会の予選はすでに始まっています。それぞれの夏に栄冠は輝きます。

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